“Insight/Outsight”
“First Time Ever and” - Through Football
歴史あるクラブにてインターンをすることになった経緯を前回までお伝えしました。
今回は研修期間についてお話しします。
想像の世界。
僕が与えられたポジションは下部組織のスポーツサイエンティスト。
ここでの下部組織はU9からU18を指します。
学年毎のチームはU15まで。U23とトップチームは同じ扱いです。
16歳から19歳はScholarship Yearという区分で、各選手がクラブからの奨学金を貰って教育を受けることができます。
将来を有望視されるのがこの年代から、ということですね。
下部組織にはスポーツ科学の部署が存在し、その中でStrength&Conditioning(S&C)とPeformance Analysis(パフォーマンス分析)を行い、選手のパフォーマンス向上を図ります。
S&Cでは、主にFunctional training(機能的トレーニング)と呼ばれるトレーニングを行いました。
例えば、ウォームアップとしてフットボールに起こる動作を練習始めに導入したり、ジムでは年齢に応じて必要な身体の使い方の基礎を指導するものでした。
パフォーマンス分析では、試合や練習を撮影し、テンプレートに沿ってチームと個人のそれぞれ求められている映像を抽出します。
毎試合マッチレポートとしてデータを出したり、試合後の練習日には映像を使った選手に対するフィードバックへの準備とセッション中のパソコン操作も行いました。
他には、U15以上は時々GPSを使って運動量やスプリント数を可視化させたり、練習前に採尿をし糖分を測って脱水症状の度合いを検査・データベースで管理したり、Wyscoutを使ってお手本となるプレーの映像を編集することもありました。
これらの仕事を僕も含めた7人のインターン生で、それぞれの大学の授業の時間割をもとにシフト制で曜日を振り分けられます。
基準が無い=
「変な先入観を持たずに新しい場所にすぐ慣れること。」
これは僕が面接で自分を売り込んだ時に言った言葉です。
働く身として他のスタッフたちと馴染むには経験上、これが一番良いと感じていました。
ですが、学ぶ立場として、クラブチームに所属したことの無い僕には比較しようもない未知の世界で、右も左もどこを見ていいのかわかりませんでした。
仕事を覚える。
顔と名前を知ってもらう。
と自分に必死になってると同時にクラブ自体も哲学を元にアプローチを試行錯誤している。
たくさんの事が渦を巻くように同時進行していました。
今だったらもっと色んな疑問を抱いたり興味を持ったりして、より深く理解することが出来ると思います。
それはインターンを終えてから今に至るまでに見て聞いて学んだものがあるから。
当時の周りの反応と実力との間にはかなりのギャップがありました。実際には、名前や見た目ほど、知識があったりコーチングが出来ていた訳ではないからです。
ただこうやって人が学んでいくんだな、と今は振り返ることができます。
見た目と中身以上
とはいえプレミアリーグのチームで経験を積めた、というのは貴重な価値です。
ーアジア人でも認めてもらえるという自信。
ー働いていた人それぞれ誰しもが貫いていたプロフェッショナルな姿勢。
これらをこの目で確かめて、この身で体験できたことが今回の研修で得られた1番の成果だったと思います。
“Nil Satis Nisi Optimum”
これはクラブの永遠のモットーであり、「最善を尽くせば、道は開かれる」という意味です。
ここを出発点に、今は最善を尽くしている旅の途中です。